2011年9月24日土曜日

映画雑談 パリより愛をこめて

From Paris with Love
2010年
「パリより愛をこめて」
上映時間 95分
製作国 フランス
映倫 R15+(麻薬)
監督: ピエール・モレル
製作: インディア・オズボーン
製作総指揮: ヴィルジニー・ベッソン=シラ
原案: リュック・ベッソン
脚本: アディ・ハサック
出演: ジョン・トラヴォルタ
ジョナサン・リス・マイヤーズ
カシア・スムートニアック
一度出来上がったイメージを乗り越えることは難しい。
スーパーマンで一躍有名になったジョージ・リーヴスは、スーパーマンのイメージが強過ぎて他の役が得られずスランプに陥るなか死亡した。その意味で
過去のイメージ(ジェームズボンド)を払拭したショーンコネリー
過去のイメージ(トニー)を十倍に濃縮したジョントラボルタ
今回は、ジョントラボルタの「パリより愛をこめて」を紹介する。
リュック・ベッソン プロデュース映画というだけである程度のイメージが出来上がってしまうほど、ベンソンらしい作品だ。批評家の反応は概ね否定的で興行的には失敗と言われているが、見ておいて損は無い。アメリカとフランスのパーセプションギャップをパロディにした?作品で粗雑さも演出?かと思うどんでん返しはトラボルタならではの早口台詞が活きている。
イントロだけが情緒たっぷりのフレンチで始まるが、あとははちゃめちゃ!
パリを舞台に、型破りなCIAエージェントとコンビを組むハメになった駐仏アメリカ大使館の若手職員が、派手な捜査手法に戸惑いながらも見えない巨大犯罪組織とドンパチする姿を、ハードアクション満載で描く。TAXi、トランスポーターあり、ソードフィッシュありのレンタル鑑賞なら満足いただけるだろう。
最後に 至る所にちりばめられているアメリカへの皮肉がこれまた楽しい。
ミセス(某アメリカ国務長官風?)のアホさ加減が笑える。

2011年9月20日火曜日

映画雑談 何度も美味しい「イギリスミステリー」

イギリスの私立探偵シャーロック・ホームズ、フランスの三銃士といえば何度も作品になった定番だ。日本で言えば赤穂浪士といったところか。
特にシャーロック・ホームズは英国民に熱愛されているヒーローだ。映画でもその数50作品を下らない定番中の定番といえるだろう。
一方世界的な人気歴史活劇「デュマの三銃士」は、リチャード・レスター監督 オリバーリード主演が有名だが、イギリスの制作。韓流でも日本でも制作されているのになぜか本国フランスでは制作数が少ない。
フランス版といえばエマニュエル・ベアール主演の「三銃士 妖婦ミレディの陰謀」、「ソフィー・マルソーの三銃士」など女性が絡んでいて一癖ある。特に今年ロードショーの「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」は時空の冒険?最近流行の19世紀科学たっぷりの作品になっている。(日本10月公開)
フランスの名優ジェラール・ドパルデューの「レディ・ダルタニアン/新・三銃士」はクロアチア/ドイツ/アメリカの作品となっている。世界の人気作品は本国ではあまり人気がないようだ。イギリスミステリーに話しをもどそう。
イギリス生まれのミステリーには伝統がある。コナンドイルはもちろん「ミステリーの女王」アガサ・クリスティ、ディック・フランシス、ジョン・ル・カレ、F・W・クロフツ等の名を聞いたことのある人も多いだろう。日本ではホームズよりアガサのほうが人気があると思う。映像化も多いし、話しの展開、エンタテイメントに優れているからだ。名探偵ポアロ相棒とアーサー・ヘイスティングズ(何故かテレ朝の「相棒」と重なる)、ミス・マープルは人気シリーズだった。ここにもしっかりシャーロック・ホームズが重なっているからイギリスにとってホームズ君はすごいらしい!

2011年9月17日土曜日

映画三昧ひねくれ鑑賞3「キンキーブーツ」

「キンキーブーツ」
原題/KINKY BOOTS
製作/2005年
上映時間:107分
鑑賞メディア:DVD
製作/アメリカ イギリス
監督/ジュリアン・ジャロルド
脚本/ジェフ・ディーン
出演/チャーリー・プライス:ジョエル・エドガートン
ローラ:キウェテル・イジョフォー
ローレン:サラ=ジェーン・ポッツ
ニコラ:ジェミマ・ルーパー
メル:リンダ・バセット
ドン:ニック・フロスト
ジョージ:ユアン・フーパー
ハロルド・プライス:ロバート・パフ
鑑賞日9月17日
■簡単なあらすじ
イギリスロンドン北部 ノーサンプトンの靴工場が舞台。父親の急死で倒産目前の靴工場を相続した優柔不断な息子が、ひょんなことからドラッグクイーンと二人三脚で工場の再生に奮闘する姿を描いたブリティッシュ・コメディ。
父の死により4代目社長として突然工場を引き継ぐこととなったチャーリーだったが、工場の実情は倒産寸前だった。従業員の首切りから始めるのだが、どうも納得がいかない。工場再建の道をさぐるが、紳士靴業界は完全な衰退業種。そこで目をつけたのがニッチ(隙間市場)のドラッグクイーン向けのブーツ。
そう簡単に成功する訳もなく、トライはことごとく失敗、従業員も保守的(伝統の価値観)から脱却できない。
さて 工場はどうなってしまうのか?
■ものづくりには何が大切か?
日本ではとかく職人技、匠の技というと数人の工房、マニュファクチュアルな意味で使っている場合が多いが、イギリスのウィスキーや靴、陶器などの工場を知ると、ここに勤める従業員全員の匠で成り立っていることの重要性をあらためて感じる。
■ノーサンプトン
19世紀末ノーサンプトンは世界一の靴製造産業の街だったが構造不況業種であることは間違いない。現在も紳士靴の聖地とも言われるイギリスを代表する工房が建ち並んでいる。
Trickers 
Crockett & Jones 
Church's 
John Lobb (日本語サイトもある)
Edward Green 
CHEANEY 

■ドラッグクイーン
ドラッグクイーンを含め、セクシュアルマイノリティーズのテーマもしっかり扱っている点がこの映画のサブテーマでもあるだろう。

とはいえ さすがイギリス仕立ての コメディ!笑って涙する秀作といえるだろう。

2011年9月16日金曜日

映画三昧ひねくれ鑑賞2「ツリー オブ ライフ」

「ツリー オブ ライフ」
原題/The Tree of Life
製作/2011年
上映時間:138分
監督/テレンス・マリック
脚本/テレンス・マリック
出演/オブライエン: ブラッド・ピット
ジャック: ショーン・ペン
オブライエン夫人: ジェシカ・チャステイン
祖母: フィオナ・ショウ
若きジャック: ハンター・マクラケン
R.L.: ララミー・エップラー
スティーヴ: タイ・シェリダン
鑑賞日9月15日
建築家とBBCネイチャー、ナショナルジオグラファンは見ておいた方が良い?!
建築家には アメリカの住宅建築と、現代建築のレビューに最適。(ただし20分くらい)
大自然ファンには、どこからどこまでがCGなのか分からない地球誕生の映像に感嘆することだろう。(ただし25分くらい)
ブラピ、ショーンペン ファンはあまり期待しない方が良い。でもブラピも役の幅広げたなと感心した。ショーンペーンは重要な役柄なのに今ひとつなのが残念だ。


全体を通して、キリスト教叙事詩テレンス・マリック風に仕上がっている。ストーリー理解ではなく、受け止めるしかない圧倒的映像世界が90%を占める。
カンヌ国際映画祭での初演時には拍手喝采とブーイングも同時に起こり、レビューは賛否二分したが、最終的にパルム・ドール賞をテレンス・マリックが受賞した。
美術作品にも言えることだが、予備知識無くても鑑賞できる作品と、予備知識が無いと(辛い)作品がある。また背景となる知識があると(さらに)作品の奥行きが広がるものもある。
「ツリー オブ ライフ」は、アメリカ人にどう受け止められたのだろうか?また、ヨブ記に始まる旧約聖書がちりばめられたキーワードを日常の「ユダヤ教徒」「キリスト教徒」はどう感じたのだろうか。二三度見なくては分からないが、一度見れば十分と感じる人も多いだろう。
この作品は予備知識に関心が無い人には「一度は見ておいた方が良い」寝ても良いから。予備知識を探りたい人は、十分に宿題を一杯与えてくれる作品だ。
ネタばれになるかもしれないが、「宿題」の一部を
■City of Waco のDDT散布
1950年代の郊外住宅がメインの舞台となる。場所は、アメリカ合衆国テキサス州中部、マクレナン郡の郡庁所在地であるウェーコ。この街、監督の故郷というだけではない歴史を持つ街だ。
ジョージ・W・ブッシュ前大統領時代は「西のホワイトハウス」と呼ばれたウェーコ。1916年に知的障害を抱えた10代のアフリカ系アメリカ人が白人女性殺害の容疑で有罪と宣告されたことをきっかけに、暴徒(殆どの白人系市民)により裁判所から引きずり出されて火あぶりになった「ウェーコの恐怖」と名付けられた事件で世界的に有名になった街。現在でも人種差別が底流にながれている地域だ。
■ヨブ記
映画の冒頭、旧約聖書のヨブ記38章の4節「わたしが大地を据えたとき おまえはどこにいたのか」と、7節「そのとき、夜明けの星はこぞって喜び歌い 神の子らは皆、喜びの声をあげた」が引用される。ヨブ記の全体構成のなかでこの38章は重要な位置になっている。悪魔と私(ヨブ)の対話から始まり、問いを重ねていく。そして神への問いに対し神が答える転換点がこの章である。
■グランドゼロ
一回しか見ていないので、これは見間違いの可能性もあるが、ニューヨークで建築家として活躍する(ジャック=ショーンペーン)はグランドゼロ近くの現場か、それに関わっているか?とにかく 高層階に昇るシーンと降りるシーンが印象的だった。911が背景にあることは恐らく間違いないだろう。
■アーメーン
「アーメーン!」の意味は(そのとおり!)考えてみれば、南無阿弥陀仏も(そのとおり)って感じですよね。
輪廻のような、ベンジャミンバトンのような、2001年のような 
■ツリー オブ ライフ
タイトルからして「生命の樹」、まさにアダムとイヴが追放されたエデンの園にそびえる大樹のことを示すから 今後のキリスト世界はどうなっていくのか?といった問いなのかもしれない。
■スメタナ モルダウ
贅沢にも「わが祖国」の「モルダウ」を一楽章まるまる使っている。スメタナ大好きな私にはこの上もない『お贅沢」大画面に広がる光景とあのサビが流れるなんてね。震えが来ました。よくぞここに使ってくれた!

映画三昧ひねくれ鑑賞1「上海」


「上海」
原題/SHANGHAI
製作/2010年
公開/2011年8月20日 アメリカ映画 105分
監督/ミカエル・ハフストローム
脚本/ホセイン・アミニ
出演/ジョン・キューザック
    :ポール・ソームズ/アメリカ情報部諜報員
   コン・リー
    :アンナ・ランティン(アンソニーの妻)
   チョウ・ユンファ
    :アンソニー・ランティン/「上海三合会」ボス
   菊 地 凛 子
    :スミコ(コナーの恋人)
   渡 辺   謙
    :タナカ/日本軍情報部大佐
   ジェフリー・ディーン・モーガン
    :コナー/アメリカ情報部諜報員
鑑賞日9月14日


太ったねジョン・キューザック!から始まった。2010年上海に行ってた時にポスターを見て公開を知った。見る時間的(精神的)余裕が無かったので見なかったが、上海の友人から一部情報は仕入れていた。
感想、深夜鑑賞で割引だったのでまあ許せるが、定価で見たい作品ではない。ちょっと金のかかったスパイ活劇かな?程度。
スタンド・バイ・ミーでデニー役を演じたジョン・キューザック。
主人公ゴーディの兄デニーは、アメフトのスター選手、両親から将来を期待されまたゴーディからも慕われる良き兄だったが、事故で亡くなる。
私は、クリントイーストウッド監督の「真夜中のサバナ」でジョン・ケルソー役だったジョンが好きだからなおさら太り気味(失礼)のジョンは少し残念だった。
本題に戻ります。真珠湾攻撃前夜の列強各国が租界を作る「上海」が舞台。その中でも悪玉の「日本軍」その代表(渡辺謙)と協力する上海ヤクザの(チョウ・ユンファ)と複雑な立場の妻(コン・リー)に割込む新聞記者に扮した諜報部員(ジョン・キューザック)のスパイ活劇。
外観、街並はたぶん全てCGだが、室内は本物を使っている。共にみごとに描かれている。今は無くなった上海租界のレクイエムとしては見応えがある。が、
いかんせんストーリーは 臭い!悪玉日本軍をもっと辛辣に描くのではないか?と思ったが、そこそこ(自制)なのは日本上映も視野にいれてのことか。
脇役で登場した(はぐれ)諜報部員のコナーが(真珠湾奇襲に備える)海軍の兆候に気がつくが謎の死を遂げ、その謎を解くために(ジョン・キューザック)が、魔都に乗り込む。この日本海軍の兆候を(ジョン・キューザック)が確信するがCIA本部は認めない。(認めれば奇襲にならない)これって結構ナーバスな表現だなと感じた。
この辺はネタバレしても(スパイ活劇)にはなんら影響ないのでご心配なく。
一つだけ 決定的なネタばれ!ラストシーンはまさに「カサブランカ」だった。クライマックスに失笑できるのも見どころかも。